看護師・キャリアの悩み解決コラム6 「ユマニチュード」―認知症看護を支える新概念

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「ユマニチュード」―認知症看護を支える新概念

人に寄り添った認知症看護を

先進国内でも類を見ないスピードで高齢化が進む日本―2025年に向けて、どんどんと医療・介護ニーズが高まります。認知症はそんな高齢化社会の中で、重要なトピックです。本日は、認知症に関する看護について、最新の考え方と動向をお伝えいたします。



■「守・破・離」の考え方で認知症看護を発展させる

 日本看護協会(日看協)の坂本すが会長は先月神戸市で開かれた
「平成27年度全国看護師交流集会」の講演で、今年度中に認知症
看護のガイドラインを作りたいと意欲を見せました。

 坂本会長はここで「守破離」という考え方を基にガイドラインの
意義を説明しましたが、ここに認知症ケアの特徴が
よく出ているように思えました。

 まず、教えられた型を守る、さらに自分で研究してより良いと思
われる型をつくることによって既存の型を「破る」、最終的には型
から自由になり、型から「離れ」て自在になれるというのが、
「守破離」と言えます。

 日看協がつくるガイドラインも、すべての認知症患者に当てはま
るものではなく、6−7割程度の患者に想定できるものだといい、
坂本会長も「ガイドラインからはみ出て、
うまくいかない状況が大変重要」と指摘しています。

 ここから思うのは、認知症看護というのが、一つの型に
当てはめにくいものであり、基本の型をしっかり押さえた上で、
その患者さんに合った方法を、アレンジしながら実践することが
求められているということです。

 認知症は、お薬に頼りにくいのかもしれません。もちろん認知症
のお薬は重要な役割を果たしています。その一方で、特にレビー
小体型認知症では、患者さんが薬剤に対する感受性が強いことが
多く、どの薬を使うのか慎重な対応が求められます。

 また、現場でも可能な限り、患者さんを拘束しないようにする
取り組みが広がりを見せていることなどからも、「患者さんを管理
する」といった方法は、限界に来ているのかもしれません。

■ユマニチュードに関心集まる

 このような流れの中、認知症ケアが再び注目されています。
特にフランスで生まれた「ユマニチュード」は
一般の方の間でも関心が高まっています。

 ユマニチュードは「見る」「話す」「触れる」といった
コミュニケーションを包括的に行いながら、認知症の人との
関係性を築いていく方法といえます。

 ユマニチュードとは人間らしくある"という意味を込めた
フランス語の造語です。ケアする相手に対して、
あなたは私にとって大切な存在であるというメッセージを、
相手が理解できる形で伝えることを重視しています。

 このメソッドを日本に紹介した本田美和子医師は、これまでの
医療はその人が持つ疾患の治療にフォーカスしていたが、高齢化が
進むにつれてそれだけでは解決できない複合的な問題が生じてい
るといいます。

 高齢化に伴い認知機能が低下し、治療の意味が理解できなかったり、
治療の受け入れが難しくなっている患者さんに対し、ユマニチュード
によるアプローチを行うことで、「届けたいケアや治療を受け取って
もらえるようになった」と話します。

 心身の状況は人に応じてさまざまで、治療やケアの目標も同じ
ではないことから、ユマニチュードでは、提供されているケアが
その人に本当に適しているのかを考えます。

 具体的なケアでは、「見る」「話す」「触れる」
といったことを重視します。

 相手の目を見て、相手からもこちらを見てもらうアイコンタクト
を続けることが「見る」ことの基本になります。また、ケアをする
間に相手が心地よく感じられる言葉を途切れさせずに伝えていく
ことが「話す」ことにおいて大切です。

 「触れる」は、相手を安心させるために、優しく、ゆっくり、
手のひらなどを使ってなるべく広い面積で触れる方がいい
そうです。相手を驚かさないようにすることがケアの基本です。

 そして、この「見る」「話す」「触れる」という動作を同時に、
包括的に行います。その中で「あなたを大切に思っている」
というメッセージに一貫性を持たせることが大切といいます。

 また、ケアを通じて「この人とよい時間を過ごした」と感じて
もらうために、ケアの手順を大事にしています。ここでも
相手を驚かせないことが重要ですし、最後に「再会の約束」をして
穏やかに別れるのも人と接する上での基本的なマナーといえます。

 本田医師は、「ユマニチュードを通じて自分の優しい気持ちを
届けることができ、それを受け取る側も自分が孤立していないと
感じることができるのではないか」といいます。

■多職種や地域の人と一緒になって支える

 今年1月、厚生労働省は2025年には認知症の患者数が、現状の
約1.5倍となる700万人を超えるという推計を発表しました。
これにMCI(軽度認知障害)を加えると膨大な数になるでしょう。

 これだけの人を看護師だけで支えることはできませんので、
介護職などとの多職種連携は不可欠でしょう。また、地域包括ケア
システムは、自助、互助、共助を理念としており、地域住民が一緒
になって認知症の人を支える担い手になる必要があります。

 認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の基本的考えには
「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域の
よい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」
とありますが、ここにも住民参加を促す意図が反映されています。

 現場はより対応に追われるかもしれません。ただ、看護師の皆さん
だけが頑張ろうとするとしんどいのではないでしょうか。他の職種と、
そして地域の方とケアすることによって、少しずつ負担が軽くなって
いくのではないでしょうか。

 ケアする側に少しだけ心の余裕が生まれると、認知症の人も
焦ったり、遠慮したりせず、自分らしく過ごせるでしょう。

 認知症看護のガイドラインの内容がどのようになるのか興味深い
ですが、エッセンスを押さえた上で、どうやってその人に合ったケア
をしていくのか、認知症看護の次のあり方が求められそうです。



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