2004年に「精神保健医療福祉の改革ビジョン」が策定され、精神障害者の地域移行を促進する方針が打ち出されてから10年以上がたった。しかし、その対策は思うように進んでいない。このほど、千葉市内で開かれた日本精神神経学会の学術総会で、「地域移行・病床削減はなぜ進まないのか」をテーマにしたシンポジウムが行われ、現状や課題が共有された。その中で、地域移行により病床を削減した場合の減収分を補てんできるような地域医療の報酬制度の創設を求める声が相次いだ。【坂本朝子】

 精神神経学会の松原三郎理事は、今年2月、精神病床を持つ医療機関を対象に実施したアンケート調査について報告。2472の医療機関に依頼したところ、987の医療機関から回答を得た。

 それによると、半数以上の医療機関で、短期入院中心の精神科医療に転換し、慢性期病床の削減を目指す方針自体には賛成だったものの、病床削減の実施については、「実施するつもりはない」(26%)、「問題が多くて実施できない」(33%)などと回答。約6割の医療機関が病床削減には慎重な考えであることが分かった。

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