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政府(厚労省他)


どうなる? 肺がん検診

 「肺がん検診」は、肺がんの早期発見、死亡率低下に役立つのか――。今後の肺がん検診のあり方を検討するため厚生労働省は9月10日、がんの専門家らで構成する「がん検診に関する検討会」(座長=垣添忠生国立がんセンター名誉総長)を開催し、「肺がん検診」の受診率の向上や検診の有効性の評価などについて議論した。肺がん検診の対象年齢と受診期間は委員の間で意見が一致し、「40歳以上を対象に年1回」としている現在の方式を継続することでまとまった。しかし、検診の有効性を評価する方法については意見が分かれ、次回の審議に持ち越された。厚労省は年内に開催される次回の検討会で「肺がん検診に関する報告書骨子(案)」を提示する予定だが、課題は多い。

 肺がん検診については、一部の学者からその効果を疑問視する意見も出ている。「がん検診」の補助金は1998年に一般財源化され、地方自治体の裁量によって実施されているが、自治体のがん検診担当者の中には肺がん検診の有効性に疑問を抱く者も少なくないという。

 前回の検討会では、肺がん検診の実施状況、肺がん検診の有効性の評価のほか、肺がん検診の新たな実施項目として検討されているCT(コンピューター断層撮影)について議論した。
 肺がん検診の検討について2回目(全体で17回目)となった今回の会合では、厚労省が挙げた「肺がん検診に関する論点」について検討し、検診の対象年齢と受診期間は「40歳以上」「年1回」にまとまった。しかし、肺がん検診の有効性を評価する方法については意見が分かれた。

 この日は、「肺がんCT検診の有効性評価研究」について、中山富雄参考人(大阪府立成人病センター調査部疫学課課長)が今後の研究計画を説明。受診者を無作為に2つの群に割り付け、「がん検診を重点的に行った群」と「行わなかった群(通常対照群)」のがん死亡率を比較する方法(RCT)は費用と期間の点で実施が難しいことから、規模を縮小した「ミニRCT」を先に実施してから、“本格的なRCT”の実施について検討するという方針を示した。

 これに対しては、「検診を受けるべき人とそうでない人を分けると、受診者はかえって心配になる」として、RCTという方法に否定的な意見、「本格的なRCTを実施すべきだ」としてRCTの実施に肯定的な意見、「本格的なRCTでは結果が出るまでに長期間を要するから、まずはミニRCTを実施すべきだ」といった意見などが出された。

 垣添座長が「とりあえず、ミニRCTで動かすというまとめにしていいだろうか」と各委員の承認を求めたところ沈黙が続き、審議は次回に持ち越された。

■ 受診率は向上するか
 
がん検診のあり方をめぐっては、検診の精度や有効性の評価のほか、受診率の向上が大きな課題となっている。厚労省によると2005年度の肺がん検診の受診率は22.3%となっている。

 この日の検討会では、西井研治委員(岡山県健康づくり財団付属病院院長)が肺がん検診の現状と問題点について、岡山県の肺がん検診の状況を例に報告。岡山県では、2004年度から05年度にかけて40歳から64歳までの受診者が大きく減少している。また、総合健診に移行した市町村では減少の幅がさらに大きくなっている。

 西井委員は、受診率が低下している原因として結核予防法の改正、廃止や市町村合併の影響などを挙げ、「残念ながら、国のイベント(制度変更)ごとに受診者減少に拍車がかかる結果になっている」と不満を表した。

 また、岡山県では市町村合併に伴って事務的な煩雑さが増加することを理由に「受診者は全住民ではなく過去2年の受診歴がある者のみ」とする市町村もあるという。西井委員は「国のがん対策基本計画で受診率を高める努力を求められている自治体が、実は財政支出が少なくて済むように受診者を減らそうとしているとさえ思える」と指摘。合併により、各検診を同日実施にする総合検診に移行した市町村も多いことから、「総合健診化は住民の利便性を向上させると一般に言われているが、現実には逆の効果を招いている」と述べた。

 西井委員は、肺がん検診を住民の利便性にかなうように進めるためには、@肺がん検診対象患者の把握と検診勧奨、A検診日程の再考、B検診事業者の淘汰、C市町村ごとの受診率、がん発見率などの公表、D検診情報のネットワーク化(過去情報の利用システム)――などが必要であると提言した。

 また、西井委員は検診の受診率を向上させる方法として岡山県瀬戸内市の取り組みを紹介。夜間検診の実施やリーフレットの配布などにより、減少傾向だった子宮がん検診が06年に大幅に増加したことから、「肺がん検診でも十分実施可能なので、市町村の担当者の奮起を期待したい」と述べた。


更新:2007/09/11 18:07   キャリアブレイン


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