医療介護CBニュース -キャリアブレインが送る最新の医療・介護ニュース-

CBネット |  医療介護CBニュース

政府(厚労省他)


凍結すると大混乱? 後期高齢者医療 

 2008年4月からスタートする75歳以上の高齢者(後期高齢者)医療の診療報酬について9月20日に開催された厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会では、「制度を凍結すると、事実上の大混乱に陥るおそれがある」といった制度設計の遅れを指摘する意見があったほか、「主治医」の役割などに関する意見が相次いだ。

【関連記事】主治医の登録制を否定、厚労省

 神田真秋委員(全国知事会社会文教常任委員会委員長、愛知県知事)は「新しい医療がどう変わっていくのか、住民や地方行政にとって関心の的だ。いよいよスタートしなければならない時期なのに、議論が遅れている。骨子案の基本的な方向性は評価していいが、具体的な準備作業に入っていかなければならない時期なので、心配している」と述べ、制度構築に向けた取り組みの遅れを指摘した。

 同様の意見は河内山哲朗委員(全国市長会国民健康保険対策特別委員会委員長、山口県柳井市長)からも出された。
 河内山委員は「後期高齢者制度そのものについて、凍結を含めた見直しをすべきとの意見もある。凍結すると、システム改修など事実上の大混乱に陥るおそれがある。地方財政が厳しい中、ギリギリの状況になるので、ぜひご理解いただきたい」と述べた。

 山本文男委員(全国町村会会長、福岡県添田町長)は「後期高齢者医療制度はほとんどの人が知らない。知っているのはここにいる人ぐらいだろう。75歳以上のお年寄りもあまり分かっていない。広報が行き届いていない」と指摘したほか、「75歳以上は医療費を多く使うからこういう制度にするのだ。この制度は決して良いものではない」と批判した。

■ 「主治医」について
 
骨子案では、在宅医療について「主治医等が中心となって、医療従事者間の情報の共有や連携を図りながら、それぞれの役割をしっかりと担う必要がある」とされている。
 鈴木満委員(日本医師会常任理事)は「主治医“等”とあるが、医師以外が中心になるのは考えにくい」と指摘した。

 これに対し、古橋美智子委員(日本看護協会副会長)は「医師が中心となりながらも、医師が支配するのではなく、チームの中で連携することが必要。医師だけが指示者ということでは成り立たない。訪問看護師が医師と相談して連携する上で必要な“判断権”を重視してほしい」と述べ、地域におけるチーム医療の重要性を訴えた。
 古橋委員は、主治医がいても地域における支援体制を整備しなければ機能しないことを強調し、「人口過密の地域と過疎地域ではコミュニティの形成が違う。特に過密地域では、主治医がいても高齢者の医療行動は変わらないので、頻回受診や重複投薬は完全に解消されないだろう。地域の相談・支援体制を整えていく必要がある」と述べた。

 「主治医等」の意味について、厚労省保険局の原徳壽医療課長は「在宅療養支援診療所などに併設されている訪問看護ステーションがある場合には、訪問看護師が情報のやり取りの中心になる。医療そのものではなく、情報共有の役割を担うという意味だ」と説明した。

 一方、対馬忠明委員(健康保険組合連合会専務理事)は「骨子案は全体的に良くできているが、主治医が疾病的に診る医師を意味していて、総合的に全体的に診るという総合医の考え方を変えている点が理解できない。“総合的に診る医師”という概念を強く出すべきだ」と指摘した。

 また、岩本康志委員(東京大学大学院法学政治学研究科教授)は「主治医は患者から見て一人だが、これを診療報酬でどう評価するのか。一人の患者が複数の病院にかかり、たくさんの医師が主治医として手を挙げてレセプトを全部通してしまったら機能しないのではないか」として、診療報酬上の評価の点で難題を抱えることを示唆した。

 多田宏委員(国民健康保険中央会理事長)は「後期高齢者を総合的に診る取り組みの推進というのが、どうもよく分からない。主治医を誰がどう選ぶのか。ある疾病で病院にかかった時、『おれが主治医だ』と医師が言えば主治医なのか。将来、後期高齢者医療制度のシステムをどう構築していくのか見えない。原点に帰った議論を希望する」と不満を表した。

 このほか、参考人として出席した小島茂氏(日本労働組合総連合会生活福祉局長)は「74歳以下と75歳は連続性があると言いながら点数を変えるのか。入院基本料や医療区分などで74歳以下と75歳を分けるのか、従来の診療報酬体系とまったく別の体系を組み立てるのか、イメージが見えない」と指摘するなど、主治医の診療報酬上の評価について、その内容の不明確さを指摘する意見が出された。

■ 終末期医療について
 
在宅患者の看取りについて、骨子案は「訪問看護が果たしている役割を踏まえて、その診療報酬上の評価の在り方について検討すべき」としているため、鈴木委員は「訪問診療医」を加筆するよう求めた。

 これに対し、原医療課長は「訪問診療医を決してないがしろにしているわけではない。現在の診療報酬体系では訪問看護師の評価が低いという意見があったので、このように書いたが、訪問診療医は重要だと認識している」と答えた。

 また、終末期に希望する診療内容などについて、骨子案は「あらかじめ家族等に情報提供等を行うことが重要」としている。岩本委員が「どの時点が“あらかじめ”なのかわからない。がん宣告をされて95%は外科手術で治るが5%は転移するという場合、転移した時点で意思表示するのか。“あらかじめ”とは、切迫した状況だと思うが、線引きが難しい」として、拡大解釈のおそれを懸念した。


更新:2007/09/21 09:02   キャリアブレイン


このニュースをメールで送る

ご自身のお名前:


送信元メールアドレス(ご自身):


送信先メールアドレス(相手先):


すべての項目にご記入の上、送信ボタンをクリックしてください。

ログイン-会員登録がお済みの方はこちら-

キャリアブレイン会員になると?

転職支援サービス

専任コンサルタントが転職活動を徹底サポート

スカウトシステム

医療機関からスカウトされる匿名メッセージ機能

医療介護ニュース

独自記者の最新の医療ニュースが手に入る!

キャリアブレインの転職支援サービスが選ばれる理由

【第22回】小野俊介さん(東大大学院薬学系研究科准教授、薬学博士) なぜ、薬害が起きるのだろうか。薬害の再発を防止するにはどうしたらいいのか―。薬害肝炎事件の反省を踏まえ、厚生労働省は医薬品の安全対策に当たる職員を大幅に増員する方針を決めている。しかし、増員された職員が働く新しい組織の在り方について ...

記事全文を読む

医療法人社団斗南堂・八王子クリニック(東京都八王子市)ミディアム・テンション≠大事に仕事と家庭を両立 医師・看護師の厳しい労働実態が社会問題化し、医療現場の環境改善が重要な課題になっている中、「生活を大切にしながら働ける」医療機関が、東京都八王子市にある。医療法人社団斗南堂・八王子クリニックだ。 ...

記事全文を読む

夏の健康管理に気をつけて!

各地で「猛暑日」となる気温35度を記録するなど、今年の夏も暑い日が続いています。体調を崩さない為に夏の健康対策をどうすればいいか、医師に尋ねました。

>>医療番組はこちら


会社概要 |  プライバシーポリシー |  著作権について |  メルマガ登録・解除 |  スタッフ募集 |  広告に関するお問い合わせ