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産科婦人科学会が厚労相に緊急提言
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今回提出された「周産期救急医療体制特に母体救命救急体制の整備に関する緊急提言」は、▽周産期医療と救急医療の連携強化▽救急医療や周産期医療提供体制の整備の推進▽周産期医療や救急医療など過酷な勤務条件の医療現場に対する適正評価と、改善策の実施▽医療体制整備のため、医師の不足や診療科間の偏在の解消、救急医療機関の規模や適性配置などについての長期的視野に立った検討―などを求めている。厚労相との懇談の中で岡井理事は、今回の問題は搬送先の医療機関を探すことに時間がかかったことが本質的な問題と指摘した上で、「根本は医師不足。救急医療機関も適性に配置されていない。365日、24時間の受け入れ体制にしようとすると、いつもベッドを空けておく必要があり、医師も余裕がないといけない。今はNICUも分散している」と述べた。また、この妊婦が脳出血によって死亡したことについて、「普通の救急体制では珍しいケース」とも指摘。「昔はほんの一握りで、(妊産婦死亡)全体の中でのこの比率は少なかったが、ほかのケースが助かるようになってきているので、比率として増えてきた。そういうものへの対応を今以上に強化しないといけない」と述べ、周産期医療と救急医療の連携が今後の課題とした。
吉村理事長は、日本救急医学会と産科婦人科学会の共同で、年度内に救急と産科医療の連携に関する報告書をまとめる考えを示した。
周産期救急医療体制特に母体救命救急体制の整備に関する緊急提言
周産期救急医療体制特に母体救命救急体制の現状が大きな社会問題となっていることに鑑み、この問題に関する専門家団体として、以下の点について緊急にご検討をお願いいたします。
1.周産期医療と救急医療の連携強化を、国、都道府県、医療機関の各レベルで推進すること
2.国民の生命を守るために、そしてわが国の将来を担う新しい生命を守るために、救急医療提供体制、周産期医療提供体制の整備を強力に推進すること。周産期医療については、周産期医療対策整備事業の見直しを行い、総合的周産期・成育医療提供体制確保事業へと拡大すること
3.周産期医療、救急医療等、過酷な勤務条件の医療現場を適正に評価し、改善の方向に導くための諸施策を緊急に実施すること
喫緊の対策として、病院における時間外の分娩、帝王切開、母体搬送、救急対応に対して、担当した医師(産婦人科医、小児科医、麻酔科医、救急医、脳外科医等)個人に、症例ごとに手当を支給すること
4.医療体制の整備のために以下の事項について長期的視野に立った検討を行うこと
医師の絶対数不足の問題、産婦人科、小児科、麻酔科、救急等の診療科間偏在の問題の抜本的解決
国民の生命を守る救急医療を担う医療機関の規模と適正配置
医師の過酷な勤務実態を解決するための方策―勤務医の当直翌日の勤務緩和促進策
添付文書
平成19年9月7日付日本産科婦人科学会舛添要一厚生労働大臣宛陳情書
平成20年10月30日付産婦人科勤務医・在院時間調査 第2回中間集計結果 報告と解説
補足説明
@周産期医療と救急医療の連携強化:
(ア)母体の救命救急医療は、周産期医療と救命救急医療の中間的な位置にあります。適切な体制整備には周産期医療と救命救急医療の両者の連携体制が必要不可欠です。現行の都道府県の周産期医療システムや総合・地域周産期母子医療センターは、厚生労働省の周産期医療整備対策事業に基づいて整備が進んできており、大きな成果をあげていますが、母体救急に関する取り組みは十分行われているとは言いがたい状態です。
(イ)周産期医療体制、救急医療体制にはそれぞれ各地域の特殊性があります。いずれの分野も現場の献身的な努力でかろうじて体制を維持している状況にあります。両者の連携を強化し情報交換を迅速に行うことが必要であることは言うまでもありませんが、それが現場の負担をさらに増加させるものであれば、せっかくの新施策も、良い結果をもたらさない可能性があります。母児の救命救急に対応する体制を短期的に充実させるためには、地域ごとに現場の実情を十分に理解した上で、最適の施策を立案実施する必要があります。私ども日本産科婦人科学会では本年度の事業として、日本救急医学会のご賛同を得て、両学会で、「地域母体救命救急体制整備のための基本的枠組みの構築」に関する合同作業部会を設置し、各地域での検討が円滑に行われ、母児の安全のさらなる確保が迅速に進むように、この問題について短期間で必要な調査を実施しつつ、集中的に検討を行うこととしております。
(ウ)現場を担当する医療者は今後、積極的にこの問題の解決に取り組んでまいります。政府、都道府県には、是非、私どもの活動をご支援、ご協力いただきますよう、要望いたします。
A救急医療提供体制、周産期医療提供体制の整備の推進:
(ア)国民の生命を守る救急医療、周産期医療は政策的な整備が必要不可欠な分野です。現在病院経営は極厳しい状況にあり、救急患者受入のために病床を安定的に確保することの困難さに現場は非常に苦しんでいます。救急患者の受入を促進するために、救急医療への積極的関与が病院経営に益するよう診療報酬等による誘導が必要と考えられます。
(イ)周産期医療における入口と出口の問題:NICU病床は著しく不足しており、多くの大学病院や周産期センターで常時満床の状態が続いています。それが早産児・病児の出生が予測される母体救急症例の受入先決定困難に直結している実情があります。またNICUで治療を受けたお子さんの中で後遺障害のために自宅退院ができない方がおられます。このようなお子さんは重症心身障害児施設等で治療やケアをうけることが望ましいわけですが、その施設が絶対的に足りないために入所できず、NICUでの超長期間の入院を余儀なくされています。その結果、NICUの病床不足はさらに悪化することになります。母体救急への受入体制整備においては、これらの問題も同時に改善していく必要があります。
(ウ)周産期医療対策整備事業の見直し:周産期医療対策整備事業には、母体救急の問題、NICU不足の問題以外にも、都道府県の境界をこえた広域搬送の問題、MFICUの算定条件および期間の問題等の懸案があります。また、この事業が開始された平成8年には想定されていなかった、産婦人科医の減少と一般の分娩施設の減少による、産科一次医療の確保のための総合的施策が必要な状況となっています。重症心身障害児施設整備の問題も含め、周産期・成育医療提供体制を総合的に整備していく必要があると考えられます。
B過酷な勤務条件の医療現場の改善:日本産科婦人科学会では平成19年9月7日に厚生労働大臣に提出した陳情書の中で、産婦人科医師不足問題への対策として、1) (産婦人科勤務医の)勤務内容を適正に評価し、過重な労働に対して相応の処遇を行うこと 2) 医師の勤務条件の改善を各病院が積極的に行うことを促進する施策をとること を要望しております。 添付文書にもありますように、極めて長時間病院に在院し医療に従事している現場の医師の働きを正当に評価し、処遇していただくことが、現場の活力を維持するために必要不可欠と考えております。言うまでもないことですが、それは現場で救急医療に携わる全ての診療科の医師においても同様であると考えられます。
( 2008年10月31日 17:01 キャリアブレイン )
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