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「30分圏内に1つの訪問リハを」―「地域ケア」を考える(3)


伊藤隆夫会長(全国訪問リハビリテーション研究会)


 今、地域でのケアを充実させる上で、早急に解決すべき課題は何か―。この問いに、医療法人輝生会教育研修局長で、全国訪問リハビリテーション研究会の伊藤隆夫会長は、「維持期リハビリテーションの不足」と即答。その充実こそが、地域の介護力を高める重要なカギの1つだと力を込める。

【この連載の別の記事】
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「犠牲者」だった高齢者、住み慣れた地域へ戻そう―「地域ケア」を考える(2) 
複合的な在宅介護サービスで重度者に対応を―「地域ケア」を考える(9)

―維持期リハビリテーションは、それほど不足しているのでしょうか。
 圧倒的に不足しています。例えば、病院のリハビリで機能を取り戻した脳卒中患者が、退院後に自宅で動けなくなって身体機能が低下し、寝たきりになってしまったり、病院に戻ってしまったりする事例が問題視されていますが、維持期のリハビリが充実していれば、そんな事態を減らすことができるはずです。

―それにしても、一度回復した機能を住み慣れた自宅で維持できないのは不思議な気がします。
 多くの住宅は、健康な人が生活することを前提に設計されています。それだけに、小さなバリア(段差)が多く、廊下も車いすでの移動はかなり困難というのが普通です。一方、リハビリの専門病院は、一般的にはバリアフリーで廊下も広い。さらに、いつでも理学療法士等の専門職のアドバイスを受けることができます。

―要介護者や患者が生活し、リハビリするという視点で見れば、在宅の環境は病院のそれに比べて劣っているわけですね。
 その通りです。維持期リハビリでは、在宅の環境を調整するためのアドバイスをし、生活空間に合わせたプログラムを提供するなどの活動を行います。つまり、患者の病院から在宅への移行を確かなものとし、要介護者の生活の質を向上させる役目を担っているわけです。

■「リハビリは病院で」の意識こそ問題

―そんな維持期リハビリの充実を阻んでいる“バリア”は何だと分析されますか。
 最大のバリアは、われわれも含めた社会全体の意識でしょうね。つまり、リハビリは病院で行うもの、それも理学療法士等の専門職の行うもので、そういった専門職は病院にいるものという意識が、われわれを含めた社会全体に流布してしまっているということです。この意識を変えるには、掛け声だけでは難しい。実際にやって見せて、効果を示さなければなりません。
 そのためにも、「訪問リハビリステーション」の制度化が求められます。現在、訪問リハ事業所は病院や診療所、老人保健施設などとの併設が義務付けられていますが、その点を緩和し、単独でも訪問リハビリステーションを設置できるようにするということです。そうなれば、われわれはより地域に出て行きやすくなります。

■「ベテランこそ在宅の現場に出向くべき」

―そういえば、現在は7万人強の理学療法士も、2015年には十数万人に達すると見込まれています。これから社会に出て来る若い人材も、どんどん訪問リハビリステーションで受け入れ、地域で活躍してもらうということでしょうか。
 その点は、ちょっと違います。先にも述べた通り、施設も人材も整った病院と、その真逆にある在宅の現場では、活動の難易度はまるで違います。当然ながら、在宅の方がより難しいでしょう。だから、専門学校を出たばかりの人材は、いったんリハビリの充実した病院に入り、先輩の理学療法士の下でOJTを受けるべきです。わたしとしては、5年程度は病院で修行してから地域に出てほしいと考えています。一方、今、病院で頑張っているベテランは、どんどん地域に出て行くようにすべきです。
 つまり、単独の訪問リハビリステーションを設置すると同時に、専門学校→病院→訪問リハという人材の流れをつくるべきなのです。
 さらにいえば、訪問リハの整備と同時に、病院の機能も強化しなければならない。病院→訪問リハという人材の流れに加え、訪問リハで活躍した人材を病院に戻す流れもつくらなければならないでしょう。既にわたしの病院では試験的に行っていますが、病院内に在宅を経験したスタッフがいると、患者の退院後までイメージしたアドバイスやアプローチを施せるようになります。

―訪問リハビリステーションは、どのくらいの密度で設置すべきでしょうか。
 地域包括ケア研究会は報告書で、「30分以内で移動できる圏内に、各種のサービスがあるとよい」と提言しています。中学校区でいえば2、3校区くらいですね。訪問リハビリステーションの場合も、その程度の範囲の中に1つは設置すべきではないでしょうか。

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( 2010年08月12日 19:24 キャリアブレイン )



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