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「CRCのやる気をそがないように徹する」


【第121回】田代伸郎さん(イーピーミント社長)

 看護師や薬剤師経験者が多く、女性が中心のSMO(治験施設支援機関)では、サービスの質を維持するため、社員の定着が最重要課題だ。業界大手のイーピーミントは、社員が定着できる環境づくりに取り組み、成果を上げている。社長の田代伸郎さんにその秘訣(ひけつ)を聞いた。(玉城正之)

―SMOは女性中心の企業というイメージがあります。働きぶりをどう評価していますか。

 一般的に全社員の80%とか、90%を女性が占めています。弊社も約80%が女性で、その平均年齢は32−33歳です。弊社のCRC(臨床研究コーディネーター)だけでなく、医療に携わっている女性の特徴と言っていいかもしれませんが、彼女たちは仕事に対するモチベーションが高く、一生懸命仕事をする人たちです。
 就職先として医療分野を選ぶ人たちというのは、世の中の役に立ちたいとか、人の役に立ちたいという気持ちが強く、もともと仕事に対するモチベーションが高い。そして看護師や薬剤師、臨床検査技師といった資格を取って、医療機関などで働いている人の中に、あえてSMOのCRCとしてチャレンジしたいという人がいる。ですから会社として大事なのは、彼女たちのやる気をスムーズに出させてあげる環境をつくることだと思っています。

―CRCに向いている人の資質としてどんなことが挙げられますか。

 看護師、薬剤師、臨床検査技師など、もともと医療機関などで臨床経験のある人が多いですが、CRCは最先端の医薬品の開発に携わるわけですから、日々勉強しなければいけません。ある意味、知らないことだらけなわけです。だから勉強することが苦にならない好奇心の強い人がCRCに向いていると思いますね。

―社員の離職率の高さに多くのSMOが頭を痛めているようです。

 弊社の前期(2009年9月期)の離職率は10%ぐらいでした。はっきりしたデータがあるわけではないのですが、SMO業界の平均は20%ぐらいではないでしょうか。それと比べれば非常に低い数値です。
 平均年齢が30歳代前半の女性ですから、結婚や出産、ご主人の転勤とか、いろいろなことがありますよ。だから離職率10%前後というのは、おそらくSMOの宿命という気がしています。
 弊社は05年7月に、イーピーエスのグループ会社でSMO事業を展開していたイーピーリンクと、同じくSMO事業会社のミントが合併して現在に至っています。実は合併直後の期(06年9月期)の離職率は20%近かったんです。
 採用して教育しても辞めてしまうという、この繰り返しになりますから、会社の質を上げるという意味でも、コスト負担という意味でも、会社にとって大問題であり、CRCたちが長年、働きやすい環境整備に継続的に取り組んでいます。

―CRC希望者から選ばれるSMOの特徴は何でしょうか。

 弊社のCRC募集に対する応募者に、その理由を聞くと、ほかのSMOと比べて、教育体制がしっかりしている印象があるから、という答えが8―9割の人から返ってきます。CRCになろうという人たちは、まずちゃんと教育してくれるような安心感のある会社を選んでいる。
 そしていったんその仕事を始めたら、自分の人生設計の中で、ずっと続けられる会社かどうか判断するわけです。給与面とか、キャリアパスとか、ほかにもいろいろ細かいことがあるのでしょう。やはり会社としては、長く続けてほしいので、そんな会社になれるよう、できることをコツコツとやってきました。

―CRCの成長を後押しする上で、大切にしていることは何ですか。

 入社後からスタートする基礎教育や、毎年計画的に実施している教育研修以外に、「もっと成長したい」「もっと勉強したい」という社員に対するバックアップ体制を整えています。例えば弊社は「e−ラーニング」を早い時期から導入していて、コンテンツもだいぶ充実してきました。当然、カリキュラムで決められている受講必須なコンテンツがほとんどですが、そのほかに自由に受講できるフリーコンテンツもそろえており、どんどん活用してもらいたいと思っています。
 社員が「こういうことをやりたい」とか、「こういうことを体験したい」とか手を挙げてくれれば、会社としてできる限り応援したいといつも考えています。

―CRCが定着できる環境づくりで効果があったことを教えてください。

 例えば弊社の場合、妊娠すると、ほとんどの人が育児休職を取りますので、それを理由に辞める人がほとんどいません。また現在、全国に支店・事業所が14か所、サテライトが3か所、計17か所の拠点を置いていますが、各店の状況についてCRCは知ろうと思えば、知ることができます。
 会社で起こっていることを、みんなで共有して、一枚岩になれるような仕組みを築いてきました。ですから風通しが良いと感じている社員が多いのではないでしょうか。
 また、CRCとして能力があるから、マネジャーとしての能力もあるかというと、それは別物です。そうしたところまで気を付けて見ていかないと、ただ単にCRCとして成績が良い人にマネジメントを任せるといった単純な人事では、おそらく離職のリスクは高くなるでしょうね。

―CRCという職種の将来の可能性をどうみていますか。

 医師も含めて医療機関の職員の誰よりも患者さんと話をしているのがCRCです。もちろん患者さん全員ではなく、治験にかかわる一部の患者さんに限った話ですが。一人に対して何十分もかけて、面と向かって話をしているという意味で、こんな人は医療機関にはいませんから。
 インフォームドコンセントを取る相手には、お年寄りも多いわけです。難しい専門用語を知らない人に、分かりやすくお話しして、理解していただかないと同意は取れません。このスキルはすごいと思いますよ。
 そうしたスキルを生かせるチャンスは、医薬品開発に限定されるものではない。医療という広い世界のどこかに、彼女たちが日々訓練しているものを生かせる場所が絶対にある。それをどう次のビジネスに結び付けるかを考えることが、わたしの役割だと思っています。

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( 2010年09月04日 10:00 キャリアブレイン )



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